作文練習

真理を記載しています。

非社会的労働者

昨夜は悪夢に魘された。 研究室で実験している夢であった。 未だに私は大学で研究をしていた日々を苦々しく思っており、だからこそ学生生活に終止符を打つという節目を寿いだのだと思う。先程その頃の自分の文章を読み返して、そのような心境であったことが…

思考の形状

リンゴを思い浮かべてみてほしい。 私がリンゴを思い浮かべるとき、なんとなくその色や形が定まっている。やろうと思えば嚙んだ時の歯応えや、味なんかも想像することが出来る。 例えば黒くて角ばった自分の身長よりも大きい物体を持ってこられて、「あなた…

思考の声

私の思考は声として聞こえる。 たとえば本を読む時、私は眼で捉えた文章を頭の中で「音読」している。自分自身に読み聞かせてあげることで文章を頭に入れている。それ以外の方法を知らない。 同様にして一人で何かを考える時も、考えを声にして頭の中で響か…

学生生活の終わりに寄せて

まずは賞賛しよう。私自身を。 今回私は自身の学生生活の終わりに際しての文章を自主的に作成しようと思い立ち、筆を執っているのだ。 最近は書く内容が思いついたときにだけ執筆するスタイルを取っていたので、時の流れに合わせて作文しようというのは中々…

真面目

生来の真面目さを疎ましく思っている。私が真面目であって得するのは私ではなく私以外の人間なのだ。 私は遅刻をしない。集合時刻の10分前には確実に着くように更に10分前に到着するように出発してしまう。酷い時は1時間前に到着してしまう。 しかし他人は遅…

家系

最近、祖父が亡くなった。 コロナ禍ということもあり*1、非常に小規模な葬儀となった。というか最早葬儀らしい葬儀の部分はなく、火葬場の前で遺体を見送った後、骨を骨壺に入れたくらいのことしかしていない。 葬儀に参列した人間も親族に限られており、祖…

幸運なことに私は物心がついてから一度も葬式というものに参加したことがなく、故に喪服というものを持っていなかった。しかし人というのは突然死ぬもので、そして直後に葬式が執り行われることを考えておくと適当なものを用意しておいても良いだろうという…

体重

最近、体重計を購入した。元々体重を定期的に計量するという習慣のなかった私なので(寧ろ多くの人間にそのような習慣があったことに一時は驚かされたが)、この数年は自宅に体重計のない生活を送っていたのだ。しかし自分の記録を残していくことを好む私にと…

依代

自室の整理が苦手だ。 幼いころからそうであったが、独り暮らしを機にその原因の一端に気付くことが出来た。要はものを捨てることが苦手なのだ。だから引っ越し当初は比較的整理された部屋を保っていたのに2年以上経過した現在は目も当てられないのだ。 とい…

食事

生来の偏食傾向で特に幼いころはかなりの苦痛を味わった。 大人というものはとかく「好き嫌いをする子供」を矯正させようと躍起になるもので、家庭の食事でも学校の給食でも私は問題児であった。きっとそういう人間は「なんでも食べられる良い子」として育っ…

ホームシック

思えば私は結構ホームシックになるタイプなのだと、旅行の度に思い知らされる。日帰りの外出については何も思わないし、泊りの旅行でも日中にはそれを忘れている。しかし夜が近付くにつれ、自分は今日家に帰らないのだと強く意識され、どことなく不安で、浮…

好きな小説、憧れの人物

私にも憧れの人物がいたことに最近気付いた。 伊坂幸太郎の小説「チルドレン」の中の登場人物の陣内という人間*1だ。この小説はいくつかの章に分かれていて、それぞれ陣内の友人が語り手として登場し、陣内との物語を展開していくというもので、陣内はこの小…

イデアと翻訳とラプラス変換と

私は林檎を手に取る。私は林檎を手に取る。私は林檎を手に取る。 今、私は異なる三つの林檎を手にした訳だが、文章の上でそれは伝わらない。言葉とは便利なもので、こんなにも大きさも、重さも、形も、色も、味も異なる物質を「林檎」として一括りに指示する…

大人に嫌われていた

大人に嫌われる子供だったと思う。今でもさして変わらないのだが。 特に親戚からは、嫌われてはいなかったにしても、可愛がられてもいなかった。 親戚の数がそんなには多くない家系で、定期的に会うのは両祖父母と叔父伯母が数人とその家族くらいなもので、…

宗教行為

宗教について問われたときに無宗教と多くの日本人が答えるが、神の存在を信じず一切の宗教的儀礼を行わない人間を無宗教と言うべきであって、初詣とかしている人間が無宗教と答えるのはおかしい、的な言説が昔から為されている。私自身も上記のような人間で…

浪人して良かった

私は大学受験に於いて一度浪人した。 現役時代は本命校と滑り止め校の二つのみを受験し、滑り止め校には合格していたが、悩んだ末*1浪人して再び本命校を受験するという選択を採った。 その選択をして本当に良かったと今では思っている。勿論浪人当時は苦し…

好きなもの

「引っ越すとしたらどんなところが良い?」と訊かれたら「ベランダから空が見えるところ」と答える。 「山登ってて何が楽しいの?」と訊かれたら「空が見えること」と答える。 私は空に焦がれる。 雲一つない青空が好きだ。草原的なところで寝っ転がりながら…

誕生日

誕生日を祝われるのが苦手だ。それ故にある時期から能動的に誕生日を口外しないようにしている程だ。誕生日を祝われた瞬間から祝ってくれた相手の誕生日を祝わなくてはいけないという呪いが私に生じる。多分それが嫌なんだ。 しかしそんな私は他人の誕生日を…

憂鬱

とても憂鬱だ。面接なんてしたくない。しかし内定は取りたい。 何故内定を取りたいかというと、さっさと就活を終わらせてしまいたいからだ。正直就職先に強い思い入れがあるわけではないし、ある程度の範囲で適当なところに入社できれば何でもよいような感じ…

日常会話の論理

「論理的な喋り方」「非論理的な喋り方」のような表現があることから分かるように、我々は会話の背景に論理の存在を措定し、それに忠実かどうかをある程度判断できると考えている。故に日常会話を精査していくことでその背後に潜む論理の姿を白日の下に晒す…

代謝

切られる爪や抜け落ちる体毛、水に流される便などを見て、これらはさっきまで「自分」だったんだよなと思う。 毎日毎日自分を入れ替えながら生きていて、それでも自分は自分であると思い込んで生きている。仮に爪をすべて剝がしても体毛をすべて抜いてもそれ…

ナンセンスとの境界

論理哲学論考を読んで比較的初歩に理解できる主張として「文の成立」がある。 文は単語に分けることが出来、単語の組み合わせで文を生成することができる。生成された文について、真偽判定の出来る「有意味な文」かトートロジー若しくは矛盾といった「無意味…

一般的な特殊性

「誰もが皆オンリーワン」というのは非常な皮肉である。アイデンティティの確立のためか知らないが、あらゆる他人との差異を探して「自分は誰かと同じではなく自分自身なのだ」と高らかに宣言した瞬間にその特殊性こそが人類共通であったことに気付かされる…

男装をしている

自然科学、特に物理学の考え方として、「過去の経験から帰納して一般法則を見出す」というものがある。一度でもリンゴが木から浮かび上がっていたら、万有引力の法則は現代にまで生き残っていないだろう。いつだってリンゴは木から落ちて、月は地球に向かっ…

幸福論

ユートピア小説というジャンルがある。別に小説のジャンルに詳しくないからいつ頃流行ったとかはよく分からん。その名の通り人間たちの理想郷を描く小説なのだが、しかしそれらは往々にして国家権力等の支配によって強制的に幸せになっているだけなので、寧…

所感

「何のために生きているのか」と問われると大概の人は答えに窮する。或いはそれらしい答えを並べることが出来る人もいるのだろうが、しかしそれは問われたから答えるのであって、常に生きる理由を掲げながら生と死の狭間を歩いているわけではない。多くの人…

論理が先か、言語が先か

論理という概念を編み出した人類は、言語を論理によって体系づけようと目論み、やがて論理に立脚して言語が存在しているという認識を生んだ。それに対して論理がアプリオリかどうかとか言って反駁することによって言語の復権が行われた。 「論理が先か、言語…

老倉育と意味

"意味なんてないわよ。意味なんて嫌いだもの。"というのは終物語に於ける老倉育の発言の一つである。これを鑑賞して感傷に浸るだけで終わっても良いのだが、折角なのでこれの"意味"するところを考えてみよう。 まずは老倉育のキャラの柱である自己嫌悪から話…

自分語りが下手

自分について語るのが苦手だ*1。人と話すときも必然人の話に対してリアクションや掘り下げをするだけで、自分から自分の経験を話す機会は少ない、ように感じている。世の中には自分について語るのが得意な人間がいるようで、私とサシでそれなりに話すことが…

比喩について

「科学は一種の宗教である」的な言説を聞いたことがあるかと思う。そもそも科学とは「他人の信じることを信じる」という実践であるから、原理的に信仰を内包しているとも言える*1。特に自然科学に於いて、個人的にかなり信仰くさいと思われるのは「ない」も…